Etat Libre d’Orange / シー ワズ アン アノーマリー | 風変わりだった彼女
紹介
映画「2001年宇宙の旅」、人工知能HALの暴走。シンギュラリティを迎えた未来のお話し。翻って現代、世界最大の香料メーカーのAI「Carto」の特異な提案から生まれた全く新しいフレグランス。
https://noseshop.jp/products/146364218より引用
構成
トップ|グリーンタンジェリン
ボディ|バニラオーキッドアコード、プルーンネオジャングルエッセンス、インセンス
ベース|ムスク、サンダルウッド、アンバーフィックス
調香師
ダニエラ・アンドリエ
イメージ
儚くも品格のある落ち着いた女性
価格
50ml / 15,400円
100ml / 22,000円
ひとこと
「風変わりだった彼女」
スイスの香料会社ジボダンが開発した、世界初の香水開発AI「Carto」によって調香された本作品。タイトルも背景も何もかも興味深い一本ですね。
トップからラストまで、香りの多少の変遷はあれど一貫して「優しい香り」がずーっと続きます。まるで人肌に包まれているような心地よさ。それでいて、(プラスチックのような、と評されることもありますが)機械的などこかひんやりした香調も孕んでいます。
一言で言えばパウダリームスクですが、同じパウダリームスク調の香水とは一線を画す作品だと思います。それは、タンジェリンが合わさることでスッと抜けるような爽やかさも持ち合わせているからなのか。
ラストに進むにつれ、タンジェリンの爽やかさの代わりにバニラやアンバーの甘みが加わり、ミルキーなムスクになります。つけてから数時間経過した後のこの薄甘い香りも非常に心地よく、うっとりとします。
ほんと、ずっと縋っていたくなるような、いい意味で心地よい堕落を感じさせる安心感のある香りです。ただ香り自体はとても薄く、ムエットで香ったときは掴みづらいと感じました。だからこそ、肌乗せした時の色気と柔らかさがたまりません。
余談ですが、非常に私にとって思い出深い香りです。香水を好きになってからこういう香りが増えるのは嬉しいけれど、この香りはいろんな感情や出来事と結びつく。それが香りの美しいところで残酷なところ。
同じようにこの香りを好きになったあなたが、同じように誰かに縋りつきたくなる気持ちでこの香りをまとってくれたら。発信の意義はそんな夢を見られることにあると、私は思います。